もの忘れ外来について
岡崎・安城など三河地方の方でもの忘れ外来をお探しなら当院へ
日本は世界でも有数の高齢社会であり、65歳以上の高齢者人口の増加とともに「もの忘れが増えてきた」という相談が急増しています。加齢に伴う自然なもの忘れと異なり、認知症は脳の病変によって記憶や判断力、日常生活の能力が徐々に低下していく病気です。このページでは、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)、最も多いアルツハイマー型認知症(AD)、次に多いレビー小体型認知症(DLB)を中心に、その病態や症状の特徴、診断方法、当院での治療や支援について詳しく解説します。患者さんやご家族が安心して医療につながることができるよう、早期発見のためのセルフチェックリストも掲載しています。
もの忘れ外来とは
「最近もの忘れが増えた」「同じことを何度も聞いてしまう」「約束を忘れることが多くなった」など、記憶に関する不安を感じた際に受診する専門外来です。加齢による一時的なもの忘れと、認知症などの病気による症状を見分けることを目的としています。問診や記憶力テスト、必要に応じて血液検査や画像検査を行い、原因を総合的に評価します。早期に受診することで、進行を遅らせる治療や生活習慣の改善につなげることができ、ご本人だけでなくご家族の不安軽減にも役立ちます。「年齢のせい」と自己判断せず、気になった時点で相談することが大切です。
認知症セルフチェック
(MMSE/HDS‑R準拠)
ご本人やご家族が気軽に認知機能の状態を確認できるよう、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSEなどの検査項目を参考にしたチェックリストを用意しました。
- 各項目に「はい」「いいえ」で答えてください。
- 3つ以上該当する場合は早期に相談することをおすすめし、5つ以上該当した場合には専門医の受診を強くおすすめします。
- これはあくまで受診のきっかけを提供する簡易ツールであり、診断を目的としたものではありません。
MCI(軽度認知障害)とは
MCIとは
MCI(軽度認知障害)は、記憶や注意力、言葉の理解などに低下がみられるものの、日常生活はほぼ自立して送ることができる状態を指します。認知症と診断されるほどではありませんが、放置すると認知症へ進行する可能性があるため、早期発見と適切な対策が重要です。日本の大規模調査では、高齢者のおよそ15%がMCIに該当すると報告され、世界的な研究では60歳以上人口の約16%がMCIと推定されています。MCI患者のうち年間10〜15%が認知症に進行するとされていますが、16〜41%は正常状態に戻ることも示されています
- もの覚えが悪くなった
- 頭がボーっとして何も考えられない
- 最近もの忘れが激しい
- 日常生活はできるけど激しい認知障害を感じる
病態と原因
MCIは単一の疾患ではなく、さまざまな背景疾患やリスク因子が関与する症候群です。最も一般的なのは初期のアルツハイマー型認知症ですが、レビー小体型認知症や脳血管性認知症、前頭側頭型認知症などに至るケースもあり、メタボリックシンドロームや頭部外傷、長期のうつ病・不安などもリスク因子とされます。さらに、ビタミンB12欠乏症や甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など治療可能な疾患でも認知機能が低下することがあり、基礎疾患の見逃しに注意が必要です。
症状の特徴
MCIでは、記憶障害が中心となる「健忘型MCI」と、注意力や言語、遂行機能など複数領域が影響を受ける「非健忘型MCI」に分類されます。健忘型はアルツハイマー病への進行リスクが特に高いとされ、非健忘型はレビー小体型認知症や血管性認知症などに進行することがあります。主な症状としては、最近の出来事が思い出せない、同じ質問を繰り返す、話の筋を追えない、身近なものの名前が出ない、簡単な計算でミスが増える、慣れた道で迷うなどが挙げられます。
診断と評価
MCIの診断は、本人や家族からの問診に加えて、精神科医や臨床心理士が行う心理検査や身体的評価を組み合わせて総合的に判断します。当院ではミニメンタルステート検査(MMSE)やモントリオール認知評価(MoCA-J)、臨床的認知症評価(CDR)など複数の検査を実施し、認知機能の各領域を客観的に評価します。さらに、血液検査で内科的要因(甲状腺ホルモン異常やビタミン欠乏など)を確認します。画像検査(MRI、CT、脳血流SPECT、MIBG心筋シンチ、DaTスキャン)は当院では行えないため、必要な場合は岡崎市民病院や藤田医科大学岡崎医療センターと連携し、結果を当院に取り込みながら治療方針を検討します。
予防と治療
近年、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβに作用し、病気の進行そのものを抑えることを目的とした治療薬が登場しています。代表的なものにレカネマブがあり、軽度認知障害(MCI)から軽度アルツハイマー病の段階で使用され始めています。これらの薬は、発症後の症状を和らげる従来の治療とは異なり、病態の進行を抑制する「病態修飾薬」であり、早期診断・早期介入の重要性はこれまで以上に高まっています。
一方で、MCIそのものを根治する薬は現時点では存在しません。そのため、薬物療法に加えて、生活習慣への介入が重要とされています。いくつかの研究では、以下のような取り組みが、認知症への進行を抑える可能性を示しています。
- ・適度な有酸素運動や筋力トレーニング
- ・野菜や魚を中心とした地中海型の食事
- ・良質な睡眠の確保
- ・読書や趣味などの知的活動
- ・家族や地域との社会的交流
また、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の管理、禁煙・節酒、うつ病の適切な治療も、認知機能低下の進行予防に寄与すると考えられています。
治療薬が使える可能性のある「今」の段階を見逃さないこと、そして薬物療法と生活習慣改善を組み合わせて取り組むことが、もの忘れ外来の大きな役割です。
ご家族へのアドバイス
MCIはご本人の自覚症状が少ない場合も多く、ご家族が「いつもと違う」と感じるかどうかが早期受診のカギとなります。「年齢のせいだから」と決めつけず、心配な点があれば遠慮なく専門医に相談してください。早期に評価することで、認知症への進行を遅らせたり、生活機能の維持を図ったりできる可能性があります。
アルツハイマー型認知症(AD)
アルツハイマー型認知症(AD)とは
脳の神経細胞が少しずつ減少して萎縮してしまう認知症です。海馬の委縮が見られるのが特徴です。時間の感覚や記憶障害が早くから見られるのが特徴です。症状に対して思い当たることや指摘されたことがある場合は、早めの受診を心がけましょう。
- 同じことを何度も言っていると周りから指摘される
- もの忘れがひどい
- 新しいことが覚えられなくなった
- 慣れた道でも迷ってしまうことがある
- ささいなことでイライラしたり、怒ったりする
- お金などを盗まれたと人を疑うようになった
- 今まで好きだったテレビ番組に興味を示さなくなった
- 家事の段取りが分からなくなった
病態・発症メカニズム
アルツハイマー型認知症は神経変性疾患の一種で、脳の神経細胞外に蓄積するアミロイドβ(Aβ)と、神経細胞内に蓄積するタウたんぱく質の異常が原因と考えられています。遺伝子変異によりAβが過剰産生されると、オリゴマーと呼ばれる小さな集合体が作られシナプスを障害し、さらにタウのリン酸化が進んで神経原線維変化が形成され、ニューロンの機能が失われていきます。こうした過程は発症の10〜20年以上前から始まるとされ、初期には自覚症状がないため、早期検出の難しさにつながっています。
症状の進行
ADはゆっくりと進行するのが特徴で、初期には最近の出来事を忘れてしまう近時記憶障害から始まります。進行に伴い、言語能力の低下や視空間認知障害、実行機能障害が加わり、時間や場所の認識が難しくなります。さらに進むと、失行や失語、失認などが現れ、最終的には寝たきり状態になることもあります。患者の約80%で行動・心理症状(BPSD)が出現し、抑うつや無気力、幻覚、妄想、攻撃性、不眠などがみられることが報告されています
診断と当院での評価
認知症の診断は、問診や心理検査に加え、脳画像検査を総合して行います。当院ではMMSE、MoCA-J、CDRなどの心理検査と身体検査を組み合わせ、認知機能低下の程度や日常生活への影響を評価します。MRIやCTで海馬や側頭葉内側部の萎縮を確認するほか、必要に応じてMRIやCTで海馬や側頭葉内側部の萎縮を確認するほか、脳血流SPECTやアミロイドPET検査を行うため、岡崎市民病院や藤田医大岡崎医療センターへ紹介します。アルツハイマー病の病理を直接反映するアミロイドPETや脳脊髄液検査は、早期診断や新薬治療を検討する際に重要な役割を果たします。
薬物療法
ADに対する既存の治療薬は、症状の進行を緩やかにすることを目的としています。主な薬剤には以下があります。
国内で最も長く使われているコリンエステラーゼ阻害薬で、軽度から高度まで幅広い病期に使用されます。副作用は吐き気や不眠、徐脈などがあり、体調に合わせた調整が必要です。
軽度〜中等度のADに適応があります。経皮吸収型の貼り薬タイプもあり、消化器症状などの副作用が比較的少ないとされていますが、貼付部位の皮膚症状には注意が必要です。
軽度〜中等度のADに適応し、液剤もあるため服用しやすい利点があります。主な副作用は消化器症状です。
NMDA受容体拮抗薬で、中等度〜高度のADに適応があります。副作用としてめまいや頭痛があるものの、消化器症状は比較的少ないとされています。
2023年に承認された新しい抗Aβ抗体薬で、アミロイドβを除去して病態そのものの進行を抑えることが期待されます。軽度認知障害〜軽度のADが対象で、2週間毎に点滴投与し、MRIで副作用(ARIA)をモニタリングする必要があります。適切な患者選択と専門医の管理が必須です。
非薬物療法と生活支援
認知症への対応は薬物療法だけでなく、生活環境の調整やご家族への支援が不可欠です。適度な運動や規則正しい生活リズム、音楽療法や回想法などの心理的アプローチが、認知機能の維持やBPSDの軽減に役立ちます。また、在宅での介護には身体的・心理的負担が大きく、介護保険制度を利用してデイサービスや訪問介護、ショートステイを組み合わせることが大切です。当院ではケアマネジャーや地域包括支援センターと連携し、ご家族が安心して介護できるよう支援します。
レビー小体型認知症(DLB)
レビー小体型認知症(DLB)とは
レビー小体という異常なたんぱく質が増えることによって発症する認知症です。幻視やパーキンソン症状(身体が硬くなったり、手がふるえたり等)が見られるのが特徴です。突然の手足の震えや日によって認知機能が低下する場合など、ご家族でもわかりづらい症状として現れることが多いため、気になる症状は早めに診察を受けましょう。
病態・特徴
レビー小体型認知症は、脳内の神経細胞にレビー小体(αシヌクレインの異常凝集体)が蓄積することで発症します。認知機能低下はアルツハイマー病ほど強くないものの、注意力や遂行機能の低下、視空間認知障害が早期から現れ、日によって認知状態が大きく変動するのが特徴です。また、はっきりとした幻視やパーキンソン症状(手足の震えや筋固縮)、レム睡眠行動異常、便秘や起立性低血圧などの自律神経症状が見られます。病理学的には認知症の約20%を占めるとされますが、臨床的には約4.3%と診断されており、見落とされやすい疾患です。
診断
DLBの診断には国際ワークショップが提唱した診断基準が使われます。中核的特徴は、①認知機能の大きな変動、②繰り返す具体的な幻視、③特発性パーキンソニズムで、このうち2つあれば「ほぼ確実」、1つあれば「疑い」と診断します。これらの中核的特徴に加えて、繰り返す転倒や失神、重度の自律神経障害、レム睡眠行動異常症といった支持的特徴や、脳血流検査での後頭葉血流低下、MIBG心筋シンチグラフィでの取り込み低下などの検査所見を総合的に評価し、中核的特徴と組み合わせることで、DLBの診断精度を高めます。
治療
DLBでは記憶障害よりも幻視や運動障害、睡眠障害が問題となるため、治療方針がアルツハイマー病とは異なります。症状の進行を抑える薬として、日本ではドネペジルがDLBに保険適用されています。レボドパなどのドパミン製剤が有効なことがありますが、幻覚や妄想を悪化させることもあるため少量から慎重に使用します。抗精神病薬は重篤な副作用を起こしやすいため原則避け、どうしても使用する場合は、クエチアピンなどを少量で短期間のみ使用します。レム睡眠行動異常にはクロナゼパムやメラトニンが用いられることがあります。生活習慣の改善を薬物療法に組み合わせて治療を行います。
当院での対応
DLBは日によって症状が変わりやすく、ご家族の混乱や不安が大きい病気です。当院では、幻視に対しては強く否定せず安心させる声かけの方法や、転倒・誤嚥を防ぐ生活環境の整え方など具体的なアドバイスを行います。診断のために必要なDaTスキャンやMIBG心筋シンチなどは連携病院に依頼し、結果に基づいて薬物療法や非薬物療法を調整します。患者さんが穏やかに生活できるよう、ご家族の精神的負担も踏まえた支援を行います。
その他の代表的な認知症
前頭側頭型認知症(FTD)
FTDは脳の前頭葉や側頭葉が変性する病気で、比較的若い世代(50〜60代)で発症することが多く、人格や行動の変化、反社会的言動、言語障害が目立ちます。記憶は初期には比較的保たれる一方で、社会的判断力が大きく損なわれるため、「単なる性格の問題」と誤解されやすい病気です。根本的治療薬はなく、症状に応じた抗精神病薬や抗うつ薬の使用、環境調整、ご家族への支援が中心となります。
血管性認知症(VaD)
脳梗塞や脳出血など脳血管障害によって神経細胞が壊れることで発症します。徐々に進行するADとは違い、発作ごとに階段状に症状が悪化することが特徴で、注意力や遂行機能の低下が目立ちます。治療には血圧管理や血栓予防などの内科的対策が重要で、早期のリハビリテーションや再発予防が症状進行を防ぎます。
当院の役割と受診の流れ
岡崎・安城など三河地方の方で
もの忘れ外来をお探しなら
ご相談ください。
岡崎メンタルクリニックでは、もの忘れや認知機能の低下を感じた方が安心して相談できるよう、かかりつけ医として総合的な支援を行います。診察ではご本人とご家族から詳しくお話を伺い、心理検査や血液検査を実施します。必要に応じて連携病院で画像検査を行い、その結果をもとに適切な診断と治療方針を立てます。薬物療法の際は効果と副作用を慎重に確認しながら調整し、ご家族へ介護方法や公的支援制度の案内を行います。また、介護保険の申請書類や診断書の作成、デイサービスや訪問看護の利用調整もお手伝いいたします。
早めの診断・対応を
早期発見と早期対応が、患者さんの生活の質(QOL)やご家族の負担を大きく左右します。もの忘れが気になる方やご家族は、年齢のせいと決めつけず、お気軽に当院までご相談ください。専門医とスタッフが親身にお手伝いし、一人ひとりに合った支援を提案いたします。
よくあるご質問
認知症は治りますか?
認知症に対する根本的な治療法はまだ見つかっておらず、完治は難しいのが現状です。しかし、治療によって症状の進行を緩めることで日常の暮らしへの復帰を目指すことは可能です。
認知症にも種類があるんですか?
認知症といっても、その症状はさまざまで、一概に同じ症状や行動パターンが決められているとは言えません。現在知られている認知症は主に4つあります。それぞれの症状に合わせた適切な診断と治療が必要になりますので、気になる症状がございましたらお気軽に当院までお越しください。