代表的な疾患
不眠症とは?
眠れない、眠りが浅いと感じる時は
当院までご相談ください
不眠症とは、寝つきが悪い(入眠困難)、途中で目が覚める(中途覚醒)、朝早くに目が覚める(早朝覚醒)、熟睡感が得られない(熟眠障害)といった症状から、心身面での不調が出現する障害です。眠る機会(睡眠に割り当てられた十分な時間)や環境(安全性、照度、静寂性、快適性)が適切であるにもかかわらず、上手く眠ることができません。治療は、非薬物療法(不眠に繋がる負の習慣を正す刺激制御療法や筋緊張の取り除き方を学習する漸進的筋弛緩療法など)や薬物療法を併用して行います。
- 布団に入ってからなかなか寝付けない
- 夜中に何度も目が覚めてしまう
- 朝早く目が覚め、それ以上眠れなくなることが多い
- 熟睡感がない、寝た気がしない
- 日中に強い眠気を感じる
治療について
非薬物療法
不眠症の非薬物療法として、刺激制御法があります。刺激制御療法では下記のルールを守ることで、不適切な睡眠習慣によって失われた睡眠を促す刺激を取り戻します。また、他にも厚労省の発表した睡眠12箇条などを参考に、カフェインやアルコールなどの嗜好品、食品についての指導を行い、適切な睡眠習慣の獲得を促します。
刺激制御法
1.眠くなったときだけ、寝床に入って寝ること。
2.眠ること以外は寝床を使わないこと。寝床では読書、TV視聴、飲食、心配事はしない。
3.寝つけない場合(10分以上)は、寝床から出て別の部屋に行くこと。
4.それでも寝つけなければ、「3」を繰り返すこと。夜の間は、これを必要なだけ実施すること。
5.眠れた時間に関わらず、毎朝決まった時間に起きること。
6.日中は昼寝をしないこと。
睡眠十二箇条
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、眠りと目覚めのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、昼間に適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
薬物療法
睡眠薬の作用時間は「超短時間作用型」「短時間作用型」「中間作用型」「長時間作用型」と短いものから長いものまで種類がありますので、症状に合わせて適切なお薬を処方いたします。現在、睡眠薬は依存性が低いものや全くないものが中心となっていますが、急にやめると治療前よりも眠れなくなってしまうことがございます。当院では、医師と相談しながら少しずつ量を減らしていくなどの対応を行い、薬剤中止までの指導も丁寧に行っています。
過眠症(ナルコレプシー)とは?
「どれだけ寝ても眠い」場合は
睡眠不足ではなく
過眠症かもしれません
過眠症とは、日中の耐え難い眠気と居眠りなどの症状が繰り返し生じ、通常では考えられない状況下でも耐え難い眠気におそわれ、居眠りをしてしまう障害です。試験中や恋人とのデート中、はては危険な作業中でも居眠りをしてしまうため、大きな事故に繋がってしまうこともあります。過眠障害には、ナルコレプシーと特発性過眠症と2つの疾患がありますが、その特徴はどちらもよく似ています。ナルコレプシーと呼ばれる疾患では、感情が高まって笑う・怒るなどした時に脱力が生じる「情動脱力発作」、目が覚めても体を動かせない(いわゆる金縛り)「睡眠麻痺」、寝入りばなに鮮明な夢のような幻覚をみる「入眠時幻覚」などの特徴的な症状が見られます。当院では、睡眠検査が可能な病院と連携し、診断を確定した後、薬物療法(モダフィニルや抗うつ薬など)や非薬物療法(計画的な昼寝をするなどの睡眠衛生指導など)を行います。
- 日中激しい眠気に襲われる
- 夜しっかり寝ているのに眠い
- 気づいたら寝落ちしていることが多い
- 寝すぎて予定を組み立てることが難しい
- 朝すっきりと起きることができない
特発性過眠症
・居眠りするとなかなか起きれない
・眠くてもある程度我慢できる
・目覚めが悪く、目覚めてもすっきりしない
・1日の睡眠時間が11時間以上
・レム睡眠が起こりにくい
・情動脱力発作がない
ナルコレプシー
・居眠り時間が30分以内と短い
・抵抗できず居眠りしてしまう
・目覚めが良くすっきりしている
・1日の睡眠時間が正常な時間
・レム睡眠が起こりやすい
・情動脱力発作がみられる
治療について
非薬物療法
主に生活指導が中心となります。ナルコレプシーなどの過眠症では睡眠不足によって日中の眠気が増悪しやすいため、健常者以上に十分な睡眠を摂る必要があります。また、短時間の昼寝も日中の眠気の改善につながるとされ、通勤時間や昼休みを利用した10分~30分程度の計画的な昼寝を指導します。但し、過眠症については非薬物療法だけでは限界があるため、基本的には薬物療法と併用して行います。
薬物療法
主に日中の眠気に対してモダフィニル(モディオダール)などを使用した薬物療法を行います。中枢神経刺激薬であるモダフィニル(モディオダール)は、他の中枢神経刺激薬と比較して、依存性も少なく、重篤な副作用も少ないことから第一選択薬となっております。少量から開始して副作用を見極めながら、日中の眠気がコントロールできるところまで増量していきます。また、ナルコレプシーで見られる情動脱力発作や夜間の睡眠分断についても、それぞれ抗うつ薬や睡眠薬を使用して治療を行います。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠中の無呼吸は早めにご相談ください
閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に上気道と呼ばれる空気の通り道が完全に閉じてしまうことで、無呼吸あるいは低呼吸が生じる病気です。空気の通り道が塞がれることで、イビキ音が生じ、満足な呼吸ができないために、あえぎ呼吸や睡眠中の呼吸苦などの症状が出現します。また、心臓にも負担がかかるため、夜間頻尿なども見られます。結果として、睡眠の質が低下し、不眠や日中の眠気や倦怠感なども出現するため、交通事故や学業・仕事の作業効率の低下、うつ状態等を来します。
原因として最も有名なものは肥満で、体重増加により、のどに脂肪が蓄積して気道が狭くなることがその理由とされています。また肥満以外にも様々な要因があり、例えば、顎の骨格(下顎骨が小さいなど)やのどの奥の形(扁桃腺や口蓋垂が大きいなど)などの理由でも空気の通りが悪くなり易く、無呼吸の原因となります。
放置しておくと、血管に負担を来すため、高血圧や不整脈、心不全、脳卒中などを引き起し、突然死の原因ともなります。また、無呼吸がストレスとなり、インスリンの働きが悪くなることで糖尿病にもかかりやすくなると言われています。
こうした様々な問題を引き起こす閉塞性睡眠時無呼吸症候群ですが、世界的にみて肥満が少ない日本においてもその有病率は高く、男性で4%、女性で2%となっています。これには上述した顎の骨格やのどの形が影響していると考えられており、アジア人は欧米人と比べて①首が短くて太い②下顎があまり発達していない③鼻が低いため口呼吸が多いからではないかと言われています。
- 睡眠中に呼吸がとまっていると指摘された
- いびきがうるさいと指摘された
- 日中に強烈な眠気におそわれる
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の検査・治療
検査について
当院では自宅でできる検査キットをご用意しております。指先と胸に検査器具を取り付けるだけで、使用方法は非常に簡単です。スタッフがお渡しの際に指導しますので、ご安心ください。この検査で、①呼吸ができているか②血液中の酸素濃度は下がっていないかを確認します。検査後に更なる精密検査が必要な場合は、関連医療機関をご紹介させていただきます。
生活指導
主に食生活について指導を行い、減量を目指します。減量することで、気道周囲の脂肪も減り、症状が改善するからです。また、体位についての指導や嗜好品についての指導も行っています。
口腔内装置
特殊なマウスピースを装着することで、下顎を前に押し出し、舌が呼吸の邪魔をしないようにして、呼吸をしやすくします。当クリニック連携先の歯科クリニック(当院隣接、東岡崎ジョイ歯科)にて、マウスピースを作成させていただきます。
在宅持続陽圧呼吸療法
鼻に特殊なマスクを装着することで、上気道内の通りを良くし、呼吸をしやすくします。その名の通り、患者さまに機器を貸し出して、自宅で毎日使っていただく治療です。当院ではPhilips社製の機器を貸し出ししております。
むずむず脚症候群とは?
脚がむずむずして眠れない場合はご相談ください
むずむず脚症候群は、夜寝ようとすると、足に不快な感覚が生じ、じっとしていられず、眠りに就くことが難しくなる病気です。脳内伝達物質のドパミンがうまく働かないことが、その原因の1つとされています。また、ドパミンを体内で作るのに鉄が必要とされることから、鉄分が不足していることも原因となります。症状は、足の異常感覚が中心で、むずむず感以外に、痛み、不快感、虫が這う感じと訴える方もいらっしゃいます。また、その結果、寝入りが悪くなり、不眠となることもあります。この病気の特徴として、足を動かすと症状が軽くなるというものがあり、診断基準の1つとなっています。その割合は、睡眠障害の中では、睡眠時無呼吸症候群に次いで高く、何と人口の2~4%程度と言われています。
- 夜足に不快な感覚が生じることがある
- 足がむずむずして眠れない
むずむず脚症候群の検査・治療
検査について
問診以外に、当院では鉄分の不足を評価するため、採血検査を実施しています。
生活指導・薬物療法
まず、生活指導を行います。カフェインやアルコール、喫煙などが症状を悪化させるため、控えていただき、鉄分を多く含んだ食材(レバー、ほうれん草、貝類など)の摂取を促します。その上で、改善が乏しければ、ドパミン作動薬や抗けいれん薬などを使った薬物療法を行います。
よくあるご質問
不眠症と睡眠不足の違いは?
睡眠不足は、生活習慣などによる睡眠の偏りによって引き起こされるものに対して、不眠症はそもそも眠れない・寝たいのに早く目が覚めてしまう不可逆性があります。不眠症を引き起こす原因は心理的・身体的・環境的とさまざまで、適切な診断と治療が必要になります。もし睡眠でお困りごとがございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
睡眠障害は治りますか?
早期に適切な診断と治療を行えば改善が見込めます。当院では心理・精神部分にアプローチする心理療法やお薬による薬物療法をご用意しております。患者さまの状況やご希望に合わせて適切な治療プランをご提供していますので、お気軽にご相談ください。