心理療法(カウンセリング)
心理療法は、対話をメインに患者さまの内面を理解し共感することによって、精神的な安定を持っていただく治療法です。心理療法は大きく分けて、「支持的精神療法」「認知行動療法」「マインドフルネス」などの様々な種類があります。患者さまのお悩み、現在置かれている状況を詳しくお伺いし、適切な心理療法を行います。無理にお答えいただく必要はございませんので、まずはお答えいただける範囲でご様子をお伝えいただければと思います。
支持的精神療法
精神疾患に対する基本的な心理療法です。治療者と患者さまが対話を通じて、患者さまの感情や考えを整理し、本人が気づいていない感情を発見し精神的な回復を促進していきます。患者さまを否定したり断定したりせず、共感的な姿勢で接することが重要です。
うつ病は「もうおしまいだ」「何をやってもうまくいかない」など過度に自分を追いつめてしまいますので、まずは悲観的な考えを抱く原因がうつ病にあるということを説明し理解していただきます。その後、自分を追い詰めすぎない考え方を自然と身に付けてもらうようカウンセリングを行います。
認知行動療法
患者さまの「認知」(ものごとの捉え方)に働きかけることで、問題解決を図る治療法の総称です。陥りがちな考え方のパターンに気づいてもらい、出来事に対する考えを見直したり、考えの幅を広げたりすることで気分を楽にするよう促していきます。もともとは、うつ病に対する精神療法として開発したものですが、うつ病以外にも、不安症や強迫症など多岐にわたる疾患に治療効果と再発予防効果があると言われています。
マインドフルネス
マインドフルネスは、仏教瞑想とヨガを組み合わせたものであり、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観察すること」と定義されています。この方法の基本は呼吸法で、背筋を伸ばし、体の緊張を解き、呼吸を感じられる部分に意識を集中させます。過去の苦しい経験や将来への不安を感じるかもしれませんが、静かに呼吸に注視します。その際、「こんなことを考えてはいけない」と思うのではなく、何に注意が向いたのかを確認したらすぐに呼吸に意識を戻します。次第に全身で呼吸を感じるようになり、このプロセスを繰り返します。
薬物療法
中等度症以上のうつ病の場合、抗うつ薬を使用する場合があります。当院は患者さまの治療負担を軽減できるよう、必要最小限のお薬での治療を心掛けております。
休養のための環境づくり
うつ病で重要なことは、病気のことを理解し十分な休養をとることです。責任感により本人が休むことを拒否したり、経済的な理由で休養をとることが難しい場合もありますので、患者さまやご家族にしっかりと説明を行い、休養をとるためにどのような環境をつくればよいか考え、アドバイスを行います。