「統合失調症は治らないの?」
このような不安を抱えている人も少なくありません。
先月の記事では、統合失調症がどのような病気か、原因や主な症状について詳しくお話ししました。
今回は統合失調症の治療法や再発リスクについて、愛知県岡崎市の岡崎メンタルクリニックがわかりやすく解説します。正しい知識を身につけて、早期に気づき、適切な対応につなげていきましょう。
目次
■統合失調症は治るの?
「統合失調症は治りますか?」という質問を多くの患者さまからいただきます。この「治る」は、一体何を意味するのでしょうか。
ここでいう「治る」とは、症状が完全に消えて、二度と再発しないという意味ではありません。症状をうまくコントロールしながら、安定した日常生活や社会生活を送れるようになることを目指します。
統合失調症の症状については、こちらの記事もご参照ください。
統合失調症とはどんな病気?|原因・症状を知って早期発見につなげよう
統合失調症も薬やリハビリテーションによって症状が落ち着き、仕事や家事、人との付き合いが無理なくできるようになれば、「治った」と言える状態です。
「早く治そう」と焦って自分にプレッシャーをかけてしまうと、治りにくくなります。医師と相談しながら、自分に合う治療法を見つけていきましょう。
■統合失調症の3つの治療法
統合失調症の治療は主に「薬物療法」「精神療法」「リハビリテーション」という3つといわれています。
これらを組み合わせることで、より効果的な回復を目指せるでしょう。
◎薬物療法
薬物療法は統合失調症の代表的な治療法です。
統合失調症は神経伝達物質のドパミンが過剰になっていると言われる疾患であるため、ドパミンを緩和するための抗精神病薬を使用します。抗精神病薬を使用することで、幻覚や妄想、思考の乱れなどの症状を改善させることが一般的です。
しかし近年では、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを調整する作用のある抗精神病薬も登場したため、集中力低下や意欲減退などの症状改善も薬物療法の役割となっています。
薬の種類は症状や個人の体質によって異なるため、医師が処方したものをきちんと服用することが、再発予防につながるのです。
◎リハビリテーション
症状が安定し始めたら、作業療法や社会生活技能訓練(SST)といったリハビリテーションも有効です。
作業療法は薬物療法がない時代からある治療法で、症状が安定した時期から開始されることがあります。作業を通して、生活リズムの回復や活動性向上を図る方法です。
一方、SSTは「身だしなみを整える」「他人と円滑にコミュニケーションをとる」といった練習を通して、無理なく社会復帰できるように準備を進める方法です。
全医療機関で実施されているわけではありませんが、興味のある人は医師に相談してみましょう。
◎精神療法・カウンセリング
以前、統合失調症の人はカウンセリングを受けたら症状が悪化すると言われていました。
しかし近年では、認知行動療法であれば有用という研究結果もあります。薬物療法と併用したり、再発予防のために安定期に入ったらカウンセリングを実施するケースも増えているようです。
※参考
菊池 安希子「統合失調症の認知行動療法:
エビデンス、認知モデル、実践」精神保健研究
55: 79-88,2009
■統合失調症は再発するの?
統合失調症は、症状が安定していても、再び悪化してしまうことがあります。再発は決して珍しいことではなく、多くの人に起こりうるものです。
特に初期の症状が和らいでから、服薬の継続をやめると1年以内に約80%の人が再発すると言われています。
※引用元
再発のサインは、初期症状とよく似ています。違和感に気づいたら早めに医師に相談してくださいね。
■再発を防ぐためのポイント
再発を防ぐためには、日々の生活の中で以下のポイントを意識することが大切です。
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薬をきちんと飲み続ける
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規則正しい生活を送る
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ストレスをためない
社会生活を送っていれば、ストレスは少なからずたまります。だからこそ、自分に合ったリラックス方法やストレス発散方法を見つけることも重要です。
医師や周囲の人と協力しながら、一人で抱えずに過ごしやすい日常を手に入れていきましょう。
■統合失調症の治療なら岡崎メンタルクリニックへ
統合失調症は、焦らずじっくりと向き合うことが大切な病気です。一人で悩んだり、抱え込んだりする必要はありません。
岡崎メンタルクリニックでは、患者さま一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた治療計画を提案し、医師やスタッフがしっかりとサポートします。お気軽にご相談ください。