「精神疾患は遺伝するの?」
「自分もなるのかな」
「子どもに影響するのでは」と、不安になる方は少なくありません。
近年、精神疾患に関する理解が進む一方で、「遺伝」と聞くと、避けられないことのように感じてしまう人もいるでしょう。
この記事では、精神疾患と遺伝の関係について解説しながら、よく知られているうつ病に対する遺伝についてもお伝えします。
目次
■精神疾患は遺伝するの?
「精神疾患は遺伝する」と聞くと不安になりますよね。
ここでは、遺伝との関係について詳しく見ていきましょう。
◎完全に遺伝するわけではない
精神疾患は、完全に遺伝するわけではありません。
たしかに、精神疾患には家族内で発症する傾向が見られることがあり、「遺伝的な要素」は関係しているとされています。
しかし、遺伝が関係しているのは発症する可能性が高まることであり、「必ず発症する」「避けられない」といったものではありません。
◎精神疾患は環境要因も関係する
精神疾患の発症には、ストレスや生活環境、人間関係などの後天的な要因も大きく関係しています。
同じような遺伝的素因を持っていても、家庭環境やストレスの少ない生活を送っていれば、発症しないこともあるのです。
「精神疾患のなりやすさ」は遺伝の影響を受けることもあります。しかし、「発症するかどうか」は、さまざまな要因が絡み合っているのです。
■うつ病における遺伝の影響
精神疾患のなかでも「うつ病」は、遺伝との関係が研究されている疾患です。ここからは、うつ病における遺伝の影響について詳しくお話しします。
◎うつ病と遺伝の関係性
うつ病にも、ある程度の遺伝的要素があるとされています。
具体的には、親や兄弟にうつ病の経験がある場合、一般よりも発症のリスクが高くなることが報告されています。
研究によっては、うつ病の遺伝率は約30〜50%と示されており、これは「うつ病になりやすい体質や傾向」が遺伝する可能性を意味します。
※引用元
新型コロナウイルスや医学・生命科学全般に関する最新情報 |
公益財団法人 東京都医学総合研究所
ただし、ここで大切なのは、「遺伝要因がある=必ず発症する」ではないということです。
◎遺伝があっても発症しないこともある
先ほどもお伝えしたように、うつ病に限らず、精神疾患は予防や早期対応によって発症を防いだり、軽症にとどめたりすることができます。
たとえば、自分のストレスに気づきやすくなるスキルを身につけたり、信頼できる人に気持ちを相談する習慣を持つことは、発症の予防に役立つでしょう。
また、万が一うつ症状があらわれても、早い段階で医療機関を受診すれば、回復の可能性も高まります。
■ほかの精神疾患と遺伝の関連性
うつ病以外の精神疾患でも、ある程度の遺伝的要素が指摘されています。
たとえば、統合失調症では約80%、双極性障害では約70〜80%とされており、比較的高い遺伝率が報告されています。ただし、これも「なりやすさ」に関する話であり、必ず発症するわけではありません。
※引用元 遺伝的な多層データに基づく
統合失調症の層別化
※引用元 日本うつ病学会診療ガイドライン
双極性障害(双極症)2023
また、ADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症などの発達障害についても遺伝的な傾向があるといわれていますが、生活習慣や支援環境の整備によって、生きづらさを軽減することも期待できます。
■遺伝が心配と感じたときは
「家族に精神疾患の人がいるから」「子どもに影響があるかもしれない」と不安に感じる方は、一人で悩まず、医療機関や専門家に相談してみましょう。
また、自分自身の生活習慣やストレス対処スキルを見直すことも、精神的な不調を遠ざける大切なポイントです。日々の睡眠や食事、休息を整えることから、始めてみてくださいね。
■うつ病治療なら岡崎メンタルクリニックへ
精神疾患と遺伝の関係について不安を感じている方へ。
愛知県岡崎市にある【岡崎メンタルクリニック】では、うつ病をはじめとするさまざまな精神疾患の診療を行っております。
心理カウンセリングや薬物療法など、一人ひとりに合わせた方法で治療を進めていきますので、ご不明点・お悩みがある場合はお気軽にご相談ください。